マーケティングを勉強し実践する3つのキーポイント

 

マーケティングを組織で習得して成果を挙げたい人

優秀なマーケッターは多くはない、マーケティングを勉強して組織で実践して成果を挙げたいけど、難しい本を読んでも、その後どうしたらいいかわかりません。マーケティングを勉強し実践する具体的な方法を教えてください。

このような疑問にお答えします。

 

本記事のテーマ

マーケティングを勉強し実践する3つのキーポイント

 

本記事の内容

  • マーケティングの本質を理解する
  • 顧客のストーリーからアイデアをひねり出す術を体得する
  • アイデアを小さく試すことをプロセス化する

 

マーケティングの本質を理解する

マーケティングというと、マーケティングの神様と呼ばれるフィリップ・コトラーがあまりにも有名です。

マーケッターと呼ばれる人は、彼の本は一度は目を通しておきたいですが、なんだか難しいと感じる方も多いでしょう。

コトラー以外でもマーケティングに関する書籍は本当にたくさんありますね。

マーケティングの本は、やさしいものから難しいもの、あるいは理論を中心としたものから実践を重視したもの、様々なものがあります。

本を選ぶなら、簡単なものからステップアップして効率的に学びたいですよね。

まだ、あまり書籍を手に取ってない方、本を選び損ねている方は、「マーケティングの学び方」という記事があるので参考にしてください。

 

さて、本記事では、書籍から学ぶこととは別に、そもそもマーケティングとは何かという本質的なことを考えることで、諸先生方が作られた理論を現実の世界に当てはめていくためにどうするかを考えていきたいと思っています。

「マーケティングとか何ですか?」とセミナーなどで受講者の方に聞くと、実に様々な答えが返ってきます。

基本的には、製品やサービスを売るための仕組み作り、というような回答をする人が多いです。

それは間違いではないのですが、もっと根本的に、もっと広義のマーケティングを捉えてみると、

  • 相手(顧客)の立場に立って、相手を深く理解し、
  • 自分(自社製品)のことを客観的に正確に理解し、
  • 自分が貢献できる相手に対して
  • 自分と相手をWin-Winの関係でつなげること

ではないかと私は考えています。

そうなんです。

マーケティングの考え方は、モノを売る、営業活動にだけ当てはまるものではなくて、企業のあらゆる活動、あるいは個人の活動のなかでも使えればとても有効なものなのです。

人と人のコミュニケーション、上司に対して提案を通し実行して認めてもらうこと、自分が会社や社会で認められること(キャリアアップ)、近所の揉め事の解決方法などでも、この考え方を使えればスムーズに事が運びます。

これがマーケティングの本質だと私は考えています。

この考え方を、いわゆる狭義のマーケティングで検証してみます。

第二世代のマーケティング(マーケティング2.0)と呼ばれているのは、今現在、多くの会社が進めているSTPマーケティングというものです。

市場や顧客層を分割(Segmentation)し、その中で自社が標的とする市場や顧客を決めて(Targeting)、ターゲット顧客に対する自社や自社製品の立ち位置(Positioning)を決めて、市場で戦っていきます。

顧客をよく理解すること、自社と他者の違いを際立たせることでポジショニングが行えます。

また、ターゲティングする意味は、自社が役に立てる、そして自社の製品を買ってくれそうな顧客を選ぶことで、企業活動を効率化します。

 

コトラーは、マーケティングは進化し続けている、と言ってます。

顧客や市場の多様性は急激に進み、SNSなどによって顧客の購買活動の方法が大きく変化しています。

与えられたものの中から選ぶ、という購買から、いくらでも自分の好きなものから選べるようにもなっていて、企業はその存在価値が問われているとマーケティング3.0では言っていて、さらにSNSによって顧客がモノを買うまでがゴールではなく、買った後の口コミまでが企業が把握すべき重要な顧客行動だとマーケティング4.0で言っています。

さらに、ハーバードビジネススクールのクリステンセン教授は、顧客は「製品そのものを見て製品を買っているのではなく、顧客が成すべき仕事(Jobs To Be Done)を片付けるために製品を採用している。」と言って、顧客の真のジョブを見つけることが重要だと言っています。

 

これらのことは裏を返すと、「顧客の立場に立って相手を深く理解し」という当たり前のように聞こえることが、実際にはほとんど出来ていないということを意味していると思います。

もう一度、私が考えるマーケティングの本質を示します。

  • 相手(顧客)の立場に立って、相手を深く理解し、
  • 自分(自社製品)のことを客観的に正確に理解し、
  • 自分が貢献できる相手に対して
  • 自分と相手をWin-Winの関係でつなげること

この中の、「相手(顧客)の立場に立って、相手を深く理解」のところを、組織的に根本的に考え方を改めて、活動方針を再設定することが、マーケティングを理解し、実践して成果を出す近道であることをお伝えしたいと思います。

マーケティングを勉強する最初のポイントは、この本質を軸にして学習し習得することです。

 

参考記事:

マーケティングをわかりやすく学べる本を紹介します

フィリップ・コトラーの理論からマーケティング思考を進化させる

 

顧客のストーリーからアイデアをひねり出す術を体得する

顧客指向とか顧客起点という言葉が企業の中で飛び交っています。

顧客中心の考え方が重要なことは誰でも理解しているのですが、やり方がまずいということだと私は考えています。

クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」の中に、顧客の言うことを聞いて製品の改善を続けていたら(持続的イノベーション)、予期しなかった弱小企業に市場を土台からひっくり返された(破壊的イノベーション)という話があります。

「顧客の言うことを聞くこと」の危険性に警鐘を鳴らしていますが、要するに、顧客は本当に必要なものを知らない、あるいはわかっていないのだということです。

顧客起点と言いながら「なぜ」と思うかもしれません。

顧客が知らないというよりは、顧客が気づいていないものが実は本当に必要なことなのです。

顧客のことでありながら、顧客自身が気づいていないのなら、顧客の口から聞くのではなくて、顧客の行動から顧客が本当に欲しいものを見つければいいのです。

 

顧客の行動から顧客が本当に欲しいものを理解するために使われる方法をいくつか紹介します。

エスノグラフィー(行動観察)

文化人類学などで使われる研究手法の一つだそうですが、最近では様々な企業のマーケティング活動で使われています。人間の行動を観察し、そこからの気づきからアイデアを出していきます。

デザイン思考

エスノグラフィーを含んで語られる場合もありますが、デザイナーやクリエイターの発想法から生まれたアイデア実現のための手法です。アメリカのIDEO社がこの手法の活用では有名で、手法の考え方は、デザインだけでなく企業の様々な問題解決にも使われます。

ジョブ理論

顧客の片付けるべき仕事(Jobs To Be Done)を製品とは切り離して探す手法です。フレームワークとしては他の手法よりは弱いかもしれません。あくまで考え方と捉えることが大事で、最近ではアメリカのスタートアップでも活用されるようになっているようです。

リーンスタートアップ

アメリカのスタートアップで、資金や時間に制限のある起業家たちが、成功確率を上げるためにMVPという小さなプロトタイプを作って顧客との間でテストを繰り返して一歩ずつ着実に進めていく方法です。

 

いずれも非常に興味深い手法や考え方で、顧客の口から聞くことは補完的に使いながら、本質は顧客の行動から真の要求を見つけていくやり方です。

この中でも、顧客行動のストーリーを見ていく考え方は重要です。顧客行動を点で見るのではなく、連続した行動、あるいはストーリーを作っていく考え方は、デザイン思考やジョブ理論を活用する上でも有効です。

これらの手法の考え方、手法の使い方を体験で理解できる「マーケティング思考力強化セミナー」を実施しています。

このセミナーは、理論よりも実践を重視しているのと、学んだあとにすぐに実践できるようにセミナー中に演習や実習が組み込まれていて、実践方法を体得できます。

 

顧客起点と言いながら、どうしても製品中心の考えが抜けきらないことが、実際の製品開発の現場で起きていることです。

マーケティングの本質に思考をシフトさせることが最重要課題、そして本当に顧客の理解が出来るようになれば、そこからアイデアをひねり出す術をマスターすることが、マーケティングを活かす方法です。

マーケティングを勉強する2番目のポイントは、顧客側に思考をシフトして、顧客のストーリーからアイデアを生み出す術を学ぶことです。

 

アイデアを小さく試すことをプロセス化する

アイデアは水モノです。

当事者たちが素晴らしいと思っても、顧客が製品を買ってくれなければ全く意味がありません。

そうかと言うと、当事者たちが期待していないものが大ヒットしたりすることもあります。

エリック・リースの「リーンスタートアップ」の中で、顧客に認められる製品かどうかは、顧客が実際にお金を払うか払わないかでしか決まらない、と言っていて、意見や無料のお試し利用などでは、本当の価値はわからないと言っています。

これは非常に重要なポイントで、どうやって顧客の真意を試すかということは、アイデアが本物かどうかを検証する非常に重要な評価基準になります。

 

マーケティングの基本は、製品やサービスを買ってもらうための仕組み作りだとすると、

  1. 顧客の立場で良い製品に求められるものを発見する
  2. 顧客の要求に答えるためのアイデアを出す
  3. アイデアが本当に顧客が求めるものかどうかを評価する

というところを完結させることがマーケティング活動ということになります。

つまり、マーケティング活動を成功させることは、最後の評価までをやり切ることです。

アイデアの仮説検証を行う手法としては、先にご紹介した「リーンスタートアップ」の他に、トヨタが実施しているというリーン製品開発手法の中の「セットベース開発」という手法が挙げられます。

セットベース開発手法では、製品開発のために挙げられたアイデアを、一つに絞らずに並行して検討を進め、小さな実験(MVE)を繰り返しながら、有力なアイデアを少しずつ絞っていくというやり方で、一見遠回りに見える考え方ですが、実際には開発効率もアップし、イノベーションの確率を従来よりも格段に上げることが出来ます。

マーケティングを勉強して実践するための3つ目のポイントは、最終段階として、アイデアを検証して本当に顧客が望む製品を世の中にローンチしていくためのプロセスをどうやって作っていくかということです。

 

トヨタ式リーン製品開発手法を学ぶことで、アイデアを仮説検証していくプロセス構築について学ぶことが出来ます。

リーン製品開発の概要を学び、プロセス改革することを演習を通して体得できる「リーン製品開発実践セミナー」を実施しています。

 

マーケティングを理論だけで学ぼうとすると、どうしても製品を売ることにフォーカスした手法というバイアスがかかってしまいます。

大事なことは、顧客起点を本当の意味で実践すること、顧客起点からアイデアを出す術を覚えること、そしてアイデアを仮説検証して本物をリリースするプロセスを持つことになると思います。

 

書籍での理論学習と並行して、実践に向けたこの記事のポイントを習得するように心がけてください。

 

 

 

投稿者プロフィール

賀門 宏一製品開発革新のプロパートナー
フューチャーシップ(株) 代表取締役
技術者のキャリアアップ請負人。日米複数の製造業で製品開発現場30年以上の経験、エンジニア育成の経験をもとに、エンジニアの活性化を通して日本企業の再生を目指し奔走中。
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