組織を変える提案、課題解決の提案力を育成する社内研修

 

組織を変えるとは?提案するとは?そもそもどういうこと?!

現状に満足していて何も変えないということは進化を止めるということ。自分たちが変化しなくても環境を含めて周りのものすべては変化し続ける。組織を進化させ続けるためには、トップダウンでの変化だけでなく、ボトムアップを含めた組織に関わる全員が変化を考えるべき。そしてトップが認める提案をする。組織を変える提案をする能力とはどういうことか?そして提案力を育成する弊社の研修について紹介します。

 

 

 

 

組織はそもそも変化し続けている

 

"Only constant is "Change." と言われるくらい、すべてのことは変化し続けています。

企業組織も何も変わっていないように見えて、少しずつ長い時間をかけて変化しているものです。

そして、自分たちが意識しない変化は、実はその多くが退化なのです。

ぬるま湯につかった茹で蛙の話はご存知でしょうか?

自分の周りのゆっくりとした変化、すなわち湯の温度変化に気づかずにいつの間にか茹だってしまうわけです。

組織も長い時間をかけてゆっくりと変化しています。

すべての組織がです。例外はないと思います。

一つ例をお話しします。

あるヒット商品を生み出し成功した企業A社が、その製品を拡販して収益をさらに上げようとします。

当初100人ほどの精鋭部隊で製品開発を行っており、何年かの努力の結果にヒット商品に繋がったのです。

ヒット商品を更に拡販すべく新しい社員をたくさん採用し、マイナーチェンジで製品のラインナップを増やし、次々に新製品を世に出していく体制を作ります。

予想通りに収益は上がり、10年間の間、A社は右肩上がりの成長を続けます。

ところがライバル企業も黙ってはいません。

ヒット商品の発売3年後くらいから、ライバル企業も同様の製品を開発しキャッチアップを始めます。そして5年、10年と経つうちに機能的にはA社の上をいくような製品を出してきて、A社の収益も徐々に減少していきます。

そしてそのころA社で起こっていたのは、製品における品質問題の多発でした。

収益には目に見えて影響はないものの、開発日程はいつも遅れていて、市場に出してからも市場問題で技術者たちはてんてこ舞いの毎日を過ごしています。

ライバルの出現で収益に陰りが出てから、A社内で新しいコンセプトの製品開発に取り組んで、もう一度ヒット商品を新しく開発しようという声が挙がります。

しかし、新しい製品はなかなか生まれません。

理由は2つあります。

一つは、既存製品の開発や品質問題対応で、人手が足りません。

もう一つは、多くの技術者が、効率的に既存製品のマイナーチェンジ製品を開発してきたために、製品全体を深く理解している技術者がほとんどいなくて、要は実力的に新しいコンセプト製品を生み出す能力が組織に残っていなくなってしまっていたということなのです。

いかがですか?まさに茹でガエルの状態になってしまったということです。

まずご理解いただきたいのは、良くも悪くも組織は変化し続けているということです。

そして良い変化を起こそうとして、実際に良い変化が起こっている裏で、実は悪い変化も少しずつ起こっていることがあるということです。

「組織は変化し続けている」ということを前提にして、これから強い意思をもって良い変化を起こすことを提案していく能力を、個人と組織にどうやってつけるかを考えていきましょう。

 

ボトムアップの提案が受け入れられにくい理由と対処法

 

企業活動では上司や上層部に対して何かを提案するということが多々あると思います。

組織改革に関わる大きな提案であったり、状況報告をする中で今後の進め方で上司に支援を求める小さな提案であったり、いずれにしても会社を変化させるための原動力であり、また日々の仕事の大きな部分を占める活動でもあると思います。

茹でガエル状態に気づき始めた人たちは、何かを変えたい、あるいは変えようとするのだと思います。そして何とか声を挙げようとして上層部への提案という行動にでるのかもしれませんね。

しかし、頑張って報告書などを作成して上司に提案しても、受け入れてもらえないとか、色々とダメだしされたなどということはありませんか?

  1. そもそも設定した問題を問題として認められなかった
  2. 提案の方向性を否定された
  3. 提案で問題が解決されないと指摘された
  4. 提案による副作用を指摘された
  5. 提案を実施するための障害を指摘された
  6. 単にやったことのないことへの不安で却下された

上記の1~6は、良くある提案への抵抗のパターンとして知られています。(TOC(制約理論)の抵抗の6階層)

 

参考記事:「TOC(制約理論)とは ~製品開発組織に適用する方法

 

人は自分の考えたことを無防備に信じすぎる傾向があります。

自分のアイデアは否定されたくないし、また、他の人も自分のアイデアを聞けばきっと同意してくれると思い込んでしまいます。

この6つの抵抗パターンを考えたときに、以下の2つのことを思い起こしてください。

  • 10人居たら10人が違う考え方をしている可能性があること
  • 自分のアイデアはまだまだ穴があるという前提を持つこと

特に、人生経験、仕事上での経験が豊富であって、かつ広い知見を持っている上司から見ると、自分から見えている世界はまだ狭いのかもしれないという謙虚な気持ちをもつことが大切だと思います。

 

ボトムアップの提案が受け入れられない理由をまとめると、要するに相手の同意を得られる内容になっていないといことです。

また、同意を得られないのは、

  1. 自分の思い込みが、相手の考えと相いれない
  2. 自分が気づいていない穴が多い

という2つの背景が考えられます。

 

したがって、ボトムアップの提案が受け入れられるようになるのは、当たり前のことではありますが、思い込みを排除して客観的に認められる提案にする必要があるということです、

しかし、これが実は意外に難しいのだと思います。

なぜなら、人は”思い込み”の塊だからです。

また、自分の提案に惚れ込んで、感情的に進めようとする傾向を多くの人が持っています。

 

思い込みを排除して客観的に認められる提案力をつけるためにすべきことは以下の2つです。

  1. 物事、あるいは問題の本質を客観的に掴む能力開発
  2. 問題解決を正しく行う手法を身に付けること

次の章で、弊社が提供する提案力を強化する研修プログラムの内容を紹介します。

 

組織を変える提案力を強化する研修プログラムの紹介

 

弊社が提供する研修は、実業務(OJT)と深く連携した実のある研修となっています。

提案力、あるいは提案能力を高めるために

  1. 本質を見極めるロジカルシンキングを鍛える
  2. 問題解決のフレームワークであるTOC思考プロセスをマスターする

という2つのことをやっていきますが、実務の課題解決を行う提案作成を題材にして研修を進めていきます。

したがって、研修の最後には受講生からトップマネージメントに対する提案を行うというプログラムになります。

 

問題の本質を捉えるトレーニング

人は思い込みの塊です。

思い込みを排除して、ものごとの本質を読み解くためには論理思考力、つまりロジカルシンキングが必要です。

例えば、

「製品全体を理解できるエンジニアの数が減少している」

という組織課題があるとします。

なぜこういうことが起きているのか、とうことを深掘りしてみます。(あくまで例としてですが)

実際には対象となる組織で何が起きているかということから本質を求めていきますが、例えばある企業では、製品のラインナップを拡充し、短いライフサイクルで製品をリリースし続けることで収益を拡大することが大きな経営課題であって、それを解決するために組織を専門領域に分けて、専門分野でのエキスパートをたくさん育成し、専門領域ごとに複数の製品をまとめて開発することで開発効率を上げるということを長い期間でやってきたとします。

専門組織ごとの組織に分かれる前は、一つの製品を開発するために、関係する全てのエンジニアが一堂に会して、製品毎の組織で開発が行われていました。

もちろん、それぞれのエンジニアは専門性を持っていましたが、異なる専門領域のメンバーがお互いに連携しながら開発を進めることで、製品開発全体で何が起こっているかを全員がリアルタイムで知ることができていたため、ほとんどのエンジニアが、他の専門領域のことも大まかに理解することが出来ていたため、製品全体を理解できるエンジニアも少なからずいたわけです。

製品全体を理解できるエンジニアがいなくなったとすると、エンジニアへの教育が良くないと考えてしまいがちなのですが、組織を製品開発の効率化のために変えたことで、ゆっくりとした時間をかけて、少しずつエンジニアが製品全体の理解から遠ざかってしまったというのが、問題の本質だったわけです。

 

この問題の本質は、下図のようなジレンマとして表現することができます。

 

 

 

トップにとっては収益拡大が大方針となります。

そして大方針を達成するために、機種開発の効率化を目指します。

機種開発の効率化を目指すための行動が、専門家組織に分割することだったわけです。

しかしもう一方で、収益を拡大するためには、一つひとつの製品を顧客の期待に応えられる品質の高いものにすることも求められます。

そして、一つひとつの製品の質を高めるための行動として考えられるのは、専門領域に分割するのではなく、製品一つに必要なエンジニアを集めて進めるプロジェクト体制を維持する方が隅々に行き届いた開発が出来るということになるのかと思います。

ここでわかるように、共通の目的(トップの大方針)を達成するために、相反する行動につながる2つの中間目的が存在することになります。

もちろん、組織を変えた時点では開発の効率化を行うことが最優先であり、かつ専門家組織に変えることで、一つひとつの製品の質が低下することは予想していなかったか、あるいは予想の中に入っていたとしても影響は軽微と考えていたのかもしれません。

実際に専門家組織に変えることで、効率化という成果はすぐに表れ始め、トップの大方針も達成されていったのだと思います。

そしてもう一方の個々の製品の品質は、すぐに劣化することはなく、エンジニアの力量が専門領域に集中していき、製品全体への理解が本当に少しずつ弱体化していって、10年単位の変化で会社の状況を悪化させていったのかもしれません。

つまり言い換えると、品質問題が多発したり、新しいコンセプト製品が出来にくい体質になってしまったのは、エンジニアの製品全体への理解力が低下してしまったことで、効率化を進めた副作用だったと言えるわけです。

変化を起こそうとする行動は、多くの場合副作用を含んでいます。何かを選択するときに、どの選択肢にも長所と短所があるということは容易に理解できますよね。

多くの選択は、長所の比較と、時には短所の影響の大きさを組み合わせて考慮されると思いますが、小さな短所は見逃してしまうことがあるのです。

そして時間とともに、その短所が無視できなくなっていって、組織に大きな問題を引き起こすということだと思うのです。この事例はその一例を示したということです。

この事例で、問題を表面的に捉えるとエンジニアの再教育のようなソリューションが導かれるのですが、例のような背景があったとすると、単に再教育を考えるようなことでは本質的な解決には至らないように思います。

弊社の研修では、実際に現場で起きている事象から、問題の本質を例の図のような形で表現するトレーニングを行います。

 

関連記事:「TOCのUDE、クラウド(対立解消図)で問題の本質を読み解くトレーニング

 

問題解決を正しく行う手法を身に付ける

弊社の研修プログラムでは、TOC(制約理論)の思考プロセスによって問題解決を行います。

TOCの問題解決フレームワークを学びながら、実際の組織で起きている実際の組織問題を取り上げて、その解決策を講師といっしょに導いていきます。

TOCの問題解決は、下図のような3ステップを厳守しながら行います。

 

 

組織改革で陥りやすい落とし穴は、すぐにソリューションに飛びついてしまうことです。

例で示したように、製品全体を理解できるエンジニアの減少という課題に対して、エンジニアの再教育のような短絡的な解決策を考えてしまうことです。

問題の本質をしっかりと把握し(現状認識)、目指すべきゴールを明確な形で組織全体で共有し(ゴール設定)、そして最後に解決策を具体的な行動計画に落としていきます。

 

TOC(制約理論)では、組織問題は負の連鎖で起こっていることを前提にしています。

 

 

 

 

一つの悪い症状が、別の悪い状態を生み出し、更に別の悪い状態に繋がるという具合です。

つまり矢印の元を辿っていくと、問題の本質、すなわち根本原因を見つけることができるというわけです。

これらの負の連鎖は、時間的にすぐに連鎖する場合もあるし、長い時間をかけて変化する場合もあるので、見つけるのが難しい場合もあるのですが、大事なことはそれぞれの組織問題が単独で起きているのではなく、それぞれが関連して起こっていると考えることです。

そして、TOCの考え方で最も重要なことは、矢印の元を辿って根本原因を追究できたら、本来的にはそこにだけ手を打てば、すべての問題が解決できるはずだという考え方なのです。(実際にはそんなに単純ではありませんが)

弊社の研修では、受講生から見た組織問題についてTOC(制約理論)の問題解決フレームワークを使って、

  1. 現状認識
  2. ゴール設定
  3. 解決策の提案作成

を行っていきます。

TOC(制約理論)のフレームワーク詳細についてはこの記事では触れませんが、必要があれば関連記事を下記に紹介しておきます。

 

関連記事:

TOC思考プロセスでUDEを使って組織問題の本質を突き詰める

開発組織における問題の構造化

TOCのUDE、クラウド(対立解消図)で問題の本質を読み解くトレーニング

 

研修内容、期間、費用について

研修は、ロジカルシンキングのトレーニングを行いながら、並行して実組織の現状分析、ゴール設定、解決策の提案作成までを行います。

企業様の状況、参加者の制約などをヒアリングさせていただいた上で、個別にプログラム詳細をご提案させていただきますが、標準的な内容は以下のようになります。

 

組織を変える提案力強化研修(標準例)

研修期間 : 6か月(4時間×2回/月+課題添削10回)

受講人数 : 1コース当たり15名程度まで

プログラム内容 :

  • 第1日 : TOC思考プロセス概要と論理思考トレーニング要領
  • 第2日 : 組織問題の連鎖と対立解消図(クラウド)の理解
  • 第3日 : 組織問題の本質を掴む(現状ツリー)
  • 第4日 : 現状ツリーの検証(実践)
  • 第5日 : インジェクションと未来ツリーの作り方
  • 第6日 : 未来ツリーの作成(実践)
  • 第7日 : インジェクションの副作用と障害の回避法
  • 第8日 : インジェクションの精査(実践)
  • 第9日 : 前提条件ツリーと移行ツリー
  • 第10日 : 組織改革の提案の格子を詰める(実践)
  • 第11日 : 組織改革の行動計画とチーム内レビュー
  • 第12日 : 上層部への提案

費用概算 : 個別見積もりさせていただきます

 

※ 詳しくは下記フォームよりお問い合わせください。

 

 

 

投稿者プロフィール

賀門 宏一製品開発革新のプロパートナー
フューチャーシップ(株) 代表取締役
技術者のキャリアアップ請負人。日米複数の製造業で製品開発現場30年以上の経験、エンジニア育成の経験をもとに、エンジニアの活性化を通して日本企業の再生を目指し奔走中。
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