フリーランス・エンジニアとして生きる道

人生100年時代を迎え、企業では定年延長などの議論も進んでいるが、技術者として自分の技術や自分の能力で、社会貢献しつつ相応の収入を70歳、いや頑張って75歳くらいまで取得し続ける道はないだろうか。

会社の力、会社に守られて生活していくのではなく、自分の力、自分の能力で生きて行くために、今からしておくべきことを考えてみたい。

私は今、技術コンサルタントとして生計を立てることができている。

サラリーマン・エンジニアのころから、技術者はもっと世の中で活躍できるはずだし、活躍すべきだと思ってきた。

独立して3年近くになり、自分なりに社会貢献できていると思うし、自分の能力や経験がもっと多くの企業で活用してもらえるという自信も大きくなっている。なので、技術者、エンジニアの可能性について、大いに確信を持っている。

ただし、クライアント企業に行って、若いエンジニアの方たちと接していると、頑張っているエンジニアの方も多いのですが、何かもっと良い環境というか、良いチャンスを与えて上げられないかと思うことも多い。

・・・この感覚は何だろうと思っていたが、一つの仮説は自社の中に閉じ込められている、ということなのではないかと考えるようになった。

つまり、”外”を見れていないのではないか、ということだ。

私の場合、それを意識してきたわけではないが、5回の転職をして、特にそのうち3社は外資系(米系)企業で、アメリカ人の目線で日本企業と仕事をする経験などもしてきたので、知らず知らず、外から日本を見ることができた。

また、一つの会社の常識が、外では通じないこともたくさん経験してきた。また、逆にどこに行っても通用する理論というか、考え方もあることを体に染みつけてきた。

これらは、自分の体に染みついた知識や経験となり、今、どんな業種、どんな製品を扱っている企業でも、コンサルタントとしてお役に立てるアドバイスが出来るようになったと考えている。

そう、転職は日本ではあまりいいイメージがないが、私は5回の転職が自分の価値を高めたのだと確信している。

ただ、私はかなり幸運だったのだと思うのと、転職によって意識的に外を知り、自分の価値を高めるのは、もしかすると確実性という意味ではリスクがあるようにも思う。日本社会での転職に対する価値観、製造企業そのものが弱体化していること、景気の低迷なども不安材料だ。

そんなとき、フリーランス・エンジニアということを知り、また、フリーランス・エンジニアを支援するエージェントのような存在があることもわかった。

シニア向けの顧問登録と同じような仕組みなのだと理解した。

実は、私自身もこの顧問登録のような仕組みを利用することで、コンサルタントとして起業するときの最初の数社のクライアントを獲得することが出来たのだ。だから、この仕組みはうまく活用できれば、独立や起業には大いに助けになることはわかっている。

ただし、顧問登録の世界も、だれもがうまく行っているわけではない。お声のかかる人は頻繁に声がかかる一方、登録したものの、一向に声のかからない人もいる。それは理解すべきだと思う。

フリーランス・エンジニアについて、興味を持ったので少し調べてみた。

なかなか面白そうだ。稼いでいる人は、1,000万円以上稼いでいるようだが、一方、苦労していてサラリーマン・エンジニアよりも年収が下がってしまった人もいるようだ。

ただ、不景気でありながら、どこの企業も人手不足に陥っているので、企業からの仕事はそれなりにあって、企業としても社員を雇って固定費を抱えるよりは、単価を多少上げても変動費で優秀な人材を活用できるメリットはあるのだと理解した。

もちろん、難易度やチャレンジ度の高い仕事というよりは、やっつけ仕事のようなものが多いのかもしれないが、私が強調したいのは、以下のようなメリットだ。

  • いろんな会社の仕事のやり方を知ることができる
  • いろんな業種、違う製品の中身を知ることが出来る
  • 自分で仕事を取ってくるという感覚を得る
  • 人脈を広げることができる
  • 独立心を高めることができる

などだ。
確かに会社に守られなくなるので、不安はあるし、リスクもある。でもそれに負けないくらい、いい経験ができるし、それが自身の知識やノウハウとして残って、将来のキャリアに確実に役に立つのだと思った。

私は、多くの技術者にもっと活躍してもらって、日本の製造業を再び世界で注目されるような存在に復活させたいと本気で思っている。
だから、技術者の育成にも奔走している。

企業内で、順当に出世競争に勝ち残って偉くなっていく人はそれでも良い。(ただ、もうちょっと経営とか勉強して欲しいが)

会社の出世競争に勝ち切れない人が負け組ではない。その人なりの価値を社会に還元することはできるし、それで大きな収益を得ることもできると私は信じている。

究極的には、コンサルタントという仕事もお勧めしたい。お勧めしたいし、私といっしょにやってくれる若い人も募りたいのだが、一方で、もう少し知識と経験を積んでほしい、という思いもある。

OJTのような形もあるのだろうが、やはり小さなリスクをとって、独立心をきっちりと持って、それなりの知識と経験を膨らませる種を作ってからにしたいと私は思う。

そのために、フリーランス・エンジニアという経験はとても理に適っていると思う。

「自分の力で稼ぐ」という自立心なくては、自分の力で将来を切り開くことが出来ないからだ。

もう一つ気づいたのは、フリーランス・エンジニアというと、ソフトウェア、つまりプログラミングを委託するのだと思っていた。確かにプログラミングの仕事の要求は高いようで、エージェントの持つ案件のほとんどは、やはりプログラミングのようだが、よく調べてみると、エージェントによっては、プログラミング以外のインフラやシステムの構築や運用、アーキテクチャー設計、プロジェクトマネージメント、あるいはコンサルなどを求める案件もある。

プロジェクトマネージメントやコンサル案件は、単価も高額になっている。

いくつかのエージェントを調べてみて、
PE-BANK
というエージェントは、比較的案件の範囲が広いのと、事務代行や確定申告のサポート、キャリアアップのための教育だどもしているようだ。

もうひとつ、
BTCエージェント
というエージェントは、本社がSIコンサルティングをやっていて、そこでのクライアントとのプロジェクトにフリーエンジニアを活用するというビジネスモデルのため、案件も安定しているのと、本体のコンサルタントがしっかりフォローしてくれることが期待できる。

他にもいろいろとエージェントさんはいるので、調べて見るといいと思う。

シニアの顧問登録も同じだが、エージェントは一つに決める必要はないので、いくつか併用して、気に行ったところ、相性のいいところと深い付き合いをすればいい。

人生100年時代。定年後も働き続けたい、そしてただ必要なお金を稼ぐということではなく、自分の価値を社会に還元し、それに相応の対価をいただくことで、幸せな人生を過ごすこと。今から人生設計を見直してみたはいかが。





投稿者プロフィール

賀門 宏一製品開発革新のプロパートナー
フューチャーシップ(株) 代表取締役
技術者のキャリアアップ請負人。日米複数の製造業で製品開発現場30年以上の経験、エンジニア育成の経験をもとに、エンジニアの活性化を通して日本企業の再生を目指し奔走中。
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