論理思考力は国語力で鍛えられる

 

論理思考力は鍛えられるか?

社内で優秀だと言われる人が、話してることが論理的で聞きやすいななんて思うことありませんか?口がうまいというのとは違って言うことに説得力があり信頼できるように思う。これがロジカルとか論理的というのだろうか?そうだとすると、そういう力はどんな役に立つのか?また、どうやって鍛えることができるのかを知りたい。

 

TOC(制約の理論)は思考プロセスとも言われ、物事を論理的に正確にわかりやすく捉えることで問題解決していくフレームワークです。クライアント企業に論理思考力のトレーニング方法をお伝えして4年になりますが、クライアント企業からも社員の働く姿勢が格段に良くなったとお礼の言葉をいただいています。

結論から言うと、論理思考力はトレーニングで鍛えられます。その方法をお伝えしていきます。

 

参考記事: 「TOCとは? 製品開発組織に適用する方法

 

 

本記事の内容

  • 論理思考とは?
  • TOC(制約の理論)を使った論理思考の鍛え方
  • 2つの口癖で論理思考を鍛える

 

論理思考とは?

論理思考とはその名の通り、モノゴトを論理的に捉える思考方法ということだと思います。

論理的に捉えるとはどういうことか?

それは、起きている現象や症状を因果関係ロジックや必要条件ロジックなど、論理的な繋がりで読み解いていくことなのです。

別の見方をすると、世の中で起こっていること、良いことも悪いことも、それぞれが単独に、そして唐突に起こっているのではなく、一つのことが原因となって次のことを引き起こし、また次のことを誘発し、という具合に、お互いが因果関係で繋がっています。

だから、世の中で起こっていること、あるいは組織内で起こっていること、問題や改善後の状況などは、因果関係でモノゴトをつないでいく思考によって人が持つ思い込みや単純な間違いを取り除いて、シンプルで正確に捉えることが出来ます。

そう、だから論理思考力は、物事をシンプルに正確に、かつ思い込みを排除して捉えることが出来る力だということです。

 

福嶋隆史さんの「本当の国語力が驚くほど伸びる本」というのがあるのですが、その中で福嶋さんは、国語力は鍛えることができると言っていて、それは、言い換える力、比べる力、辿る力を身につけることだと教えてくれます。

この中で、辿る力が、すなわち因果関係ロジックや必要条件ロジックによって、物事の繋がりを読み解いていく力ということになるのです。

まさに、論理思考というのが、国語力だと言っているのかもしれません。

人間は思い込みの塊だと私は思います。

正しい判断をするときに、この思い込みが邪魔をします。

また、人と人のコミュニケーションで、お互いの持っている異なる思い込みによって、意思疎通を阻む場合があります。

論理思考は、思い込みを排除して正しい判断をする、あるいは人と人との意思疎通を間違いなく行うために、大変重要なことなのだと思っています。

 

言葉の表面を捉えてしまい、モノゴトの本質を見失うことがあります。

起こっている現象に、対処療法で手を打つことなどが良い例です。

熱が出たから解熱剤を飲む。

咳が出るから咳止め薬を飲む。

頭が痛いから鎮痛剤を飲む。

というようなことで、問題が収まる場合もありますが、その現象の本当の原因がある場合は、本来はその本当の原因に手を打たなければなりません。

熱が出ている原因であれば、解熱剤ではなく、インフルエンザ治療薬(タミフルなど)を処方してもらう必要があります。

咳が出る原因がもし、肺炎などの大きな病気が原因であれば、咳止めを飲んでる場合ではないかもしれません。

現象に対して、目先のソリューションに飛びつくことで、大きな間違いを犯すことがあります。

論理思考は、このような間違いを防ぐ考え方でもあります。

 

TOC(制約の理論)による論理思考の鍛え方

論理思考は、国語力を鍛えます。逆もまた真です。

具体的な方法としては、TOC(制約の理論)の対立解消図(クラウド)を使って、組織問題の構造を文章として捉える訓練をする方法が知られています。

(参考記事:「対立解消図(クラウド)の作り方」)

 

普段、会社の中で起こっている様々な問題や、世の中で起こっていることの本質をいかにシンプルに捉えるかという練習をします。

問題を起こしている人間の行動、その行動を起こす直接的な目的と、その目的と対立する別の目的、さらに対立する2つの目的を生み出す組織や社会の大方針は何かということを、それぞれシンプルに、思い込みや勝手な解決策のような考えを排除して表現していく練習です。

クライアント企業でこのトレーニングをすると、エンジニアは技術のことを良く知っているから、このような捉え方も簡単にできると思うと、結構そうでもないのです。

いや、普段理詰めで考えることが多い技術者が、意外に苦手なことなのかもしれません。

特に、思い込みや勝手な解決策を、問題を捉えるときに入れ込んでしまうのです。

先日講義をしたクライアントでは、製品開発組織の中には問題が山積していて、忙しすぎる、やり直しや市場クレームがなかなか減らないなど、問題はたくさんあるはずなのに、それを分析して、ひとつひとつ大問題の根本原因を探そうとすると、なんだか愚痴合戦のようになってしまいました。

普段の活動に出ている症状、その引き金になる人の行動、組織のジレンマと解決策(案レベル)がごちゃごちゃになって話し合われるのです。

これらを講義の中で演習として、出ている症状、この症状を起こすのは誰のどんな行動か、その行動の目的、その目的を導く組織の大方針という抽象度のレベルを変えながら、それぞれをシンプルに捉えていく練習をすると、少し納得した表情に変わっていきます。

この変化を見ていると、こちらもホッとする気持ちになってきます。

技術者は往々にして国語力が弱いのかもしれませんね。

TOCを使った論理思考のトレーニング方法は、下記の「論理思考力向上セミナー」で実際にやり方をお伝えしています。

興味がありましたら、ぜひ受講してください。

 

論理思考力強化セミナー | 技術者のスキルアップ

稼げるエンジニア、つまり、企業内での昇格、企業外でも引っ張りだこ、さらに起業で成功して仕事と人生の両立を手に入れるため、論理思考、論理的思考を強化するプログラ…

 

2つの口癖で論理思考を鍛える

  • 「それは何故ですか?」
  • 「だからどうなるのですか?」

という口癖をつけてみましょう。

言い方が悪いと、険悪になってしまうので、言葉使いに気をつけながら、自分自身に対しても、他人に対してもこの2つの言葉をぶつけてみてください。

自然と、何かを深く考えるようになっている自分に気づくようになります。

口に出さなくても、人の話を聞きながら、あるいは書籍や文章を読みながら、2つの言葉を呪文のように唱えてみてください。

会議中の眠気もなくなるかもしれません。

「それはなぜですか?」は、良く言う「なぜなぜ5回」というのと同じで、モノゴトの本質にたどり着くまで「なぜ」を繰り返します。

ちょうど5歳児が、色んなものへの関心を止められないのと同じように、様々なものや事柄に興味を持ち続けること、モノゴトの本質までたどり着かなければ気が済まないようにすることが大事だと思います。

「だからどうなるのですか?」を繰り返すことで、因果関係でモノゴトを捉える習慣になり、そのことによって一つの原因から様々な事象が起きることが予想できるようになり、問題解決力が格段に上がります。

 

論理思考力を鍛えることで得られることは、以下の3つです。

  • ものごとの本質を捉え、常に正しい判断をする力
  • 相手を説得し、自分の提案を通す力
  • 会議、コミュニケーションを取りまとめる力

 

論理思考力を鍛えて、出来るエンジニアに変心しましょう。

 

 

 

投稿者プロフィール

賀門 宏一製品開発革新のプロパートナー
フューチャーシップ(株) 代表取締役
技術者のキャリアアップ請負人。日米複数の製造業で製品開発現場30年以上の経験、エンジニア育成の経験をもとに、エンジニアの活性化を通して日本企業の再生を目指し奔走中。
Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA