社会で活躍するために戦略を学び戦略思考を身につける方法
企業戦士として活躍するため、あるいは将来、起業して成功するため戦略思考を身につけたい!
企業で活躍するため、あるいは自分で何かを立ち上げるためには、様々な知識や能力が必要ですが、特に戦略思考はぜひ身につけたいと考えるビジネスマンは多いと思います。戦略思考は知識として身につけるのではなく、自身の思考プロセスを確立して戦略的思考に従った”行動”を起こすことが大切です。思考プロセスを確立するためには、戦略思考、あるいは戦略的思考の真の意義を理解して自身の思考⇒行動のパターンを作っていく必要があります。
製造業での組織責任者、及び企業コンサルタントとして、企業の経営戦略、製品開発戦略の立案と実践に関わってきて、個人と組織に戦略思考を身につける方法を試行錯誤で修得した経験に基づいて、戦略思考の身につけ方を皆様にお伝えします。
本記事の内容
戦略思考(戦略的思考)とは?
戦略思考とは、大きな目標、困難なゴールを達成するために、現状を正確に分析した上で、目標達成のための手段や取るべき行動を明確化することだと言えます。
戦略は目標そのものではなく、高い目標と現状とのギャップを埋めるための策略です。
また、戦略は競争の中で使われる言葉であって、競争状態における目標、つまり競争に勝つこと、あるいは少なくとも負けないことを目標として、そのためにどんな手段や行動を取るべきかということが戦略思考(戦略的思考)であります。
戦略思考を高めると、以下のようなメリットを享受できます。
- 自分の行動に自信を待てます。その結果、大きな成果を出すことに繋がります。
- 行動計画の精度を高められます。その結果、目標達成の確率を高められます。
- ビジネス上の競争の世界で「負けない」確率を高められます。
- 組織が求める建設的なアイデアをたくさん提起できます。
そして、戦略思考(戦略的思考)を構成する要素は、以下の5つです。
- 分析力(客観力)
- 論理思考力(因果関係ロジック)
- 解決手段に関する知識
- リスク予知能力
- 行動力(計画&行動)
分析力(客観力)
戦略的な思考の基本は分析力です。
競争で勝つ、あるいは負けないために、自分の現状、競争相手の現状や動向を客観的に正確に分析することが、負けない戦略を考える基礎になります。
”敵を知り己を知れば百戦危うからず”
ということです。
論理思考力(因果関係ロジック)
ものごとを因果関係で考える力は、現状分析にも有効であるし、手段や行動の結果、目指す目標に到達するまでの道すじを正確に予測する力にもなります。
こういう手を打てば、結果こうなる、さらにこういう結果を導く、ということを頭の中で短時間で組み立てていきます。
全ての行動は、何か別の結果に繋がっていきます。
原因と結果をロジックで予測することで、問題解決やリスク回避が容易になります。
このとき独りよがりのロジックを組むと大きな失敗につながります。
自分が組み立てた因果関係に疑問点はないか、副作用はないか、障害はないのかを考える力が戦略を強いものにします。
解決手段に関する知識
知識と思考は車の両輪です。
どちらが欠けてもうまく働きません。
戦略思考で強い戦略を導くためには、多くの解決手段に関する知識が必要です。
ここでいう知識は、手法とか理論というものになります。
製品開発戦略に関する例でいえば、「リーン製品開発手法」、「マーケティング理論」、「アジャイル開発」などが問題解決のための手法ということになり、生産関係でいうと「トヨタ生産方式」、「制約の理論(TOC)」などが手法になります。
手法を学んで導入しさえすればうまくいくという考え方は危険であって、本来は戦略思考の中に、対象となる問題に必要な手法や理論のエッセンスを上手に取り入れることで成功を勝ち取ります。
幅広い知識がないと、ある少数の手法や理論に固執する傾向が出てきて、ある手法や理論に依存した戦略策定になってしまい、求める成果を得られない状況になることがあります。
知識はたくさんあるに越したことはなく、多くの選択肢から状況に合わせた最適な方法を導き出すことも、戦略思考にとって重要なことになります。
戦略とはシンプルで驚きである、というのはリチャード・ルメルト(「良い戦略悪い戦略」)の言葉ですが、良い戦略を立てるには、たくさん持っている知識を駆使して、誰も思いつかない、それでいてシンプルなアイデアを導き出すことです。
リスク予知能力
戦略思考で失敗を防ぐためには欠かせない能力です。
リスク予知は、因果関係ロジックの精度を上げることで、広範囲に精度高く予測することができます。
また、リスクを予知する能力は、過去の失敗経験から得られる場合もありますが、自分自身の失敗だけでなく、組織内での失敗経験、他者の失敗経験などをうまく活用することで、リスク予知能力を高めることが出来ます。
因果関係の精度を上げるときに、経験が大きく役立ちます。
成功の経験だけでなく、失敗の経験を活用することも重要です。
リスクは失敗から学ぶと言い換えてもいいくらいだと思います。
行動力(計画&行動)
戦略思考は行動に結びついて初めて意味があるものになります。
また、戦略思考は、現状分析からスタートして目標達成の道すじをつけること、すなわち綿密な計画を立てることに他なりません。
行動することを明確にイメージした計画を立てること、つまり行動力と繋がった計画を立てることが重要となります。
ただし、目標達成までの道のりは、必ずしも予想通りに行かないこともあります。
そのときには、引き返すことも必要であり、小さな仮説検証によって引き返すときのリスクを軽減することも大切です。
行動は結果が伴い、その結果が予定通りに行くか行かないかを自身でチェックしながら進めたいものです。
戦略的でない思考による行動とは?
反対に戦略的でない思考とはどんなことなのか、あるいは戦略的でない思考による行動はどんなものかを考えると、以下のようなことが思いつきます。
- 自分の思いで強引に事を進める
- 感情的な判断で事を進める
- 起きている現象に一つ一つ手を打とうとする
- 障害を甘く見て挫折する
- 副作用を考えずに事を進める
- 行動せずに評論家で終わる
自分の思いで強引に事を進める
自分がやりたいこと、思いだけで事を進めようとします。
やりたいことに向けて全力を尽くすことは良いことではありますが、分析が足りていなくて失敗することが多く、また、自分の思い込みに気づかずに後で痛い目を見ます。
思い込み、認知バイアスというのは、戦略思考とは対極的なもので、思い込み、認知バイアスを排除する力が戦略思考を高める近道です。
感情的な判断で事を進める
自分の思いで進めることと似ていますが、感情が先行して事を進めようとします。
戦略的思考が弱い組織の中で感情論で話が進むと、誰も反対意見を言えなくなって正確な判断が出来なくなります。
精神論や感情論は、多くの組織で現実にはびこっていて、組織の間違った行動をたくさん生み出しています。
起きている現象に一つ一つ手を打とうとする
所謂、対処療法という行動です。
起きている現象を上辺だけで捉えて、一つ一つに手を打っていこうとします。
組織内で起きている複数の現象は、因果関係で繋がっていて、戦略的な思考があれば、現象を因果関係で追っていき、根本の原因を見つけてそこに手を打つという行動になります。
障害を甘く見て挫折する
障害は様々なレベルで発生します。
障害によって、計画が果たせないことも良くあることです。
障害で計画が止まるのは、言い換えるとリスクヘッジが出来ていないということです。
プラス思考は悪いことではありませんが、良いことばかりを想定して、希望的観測だけで事を進めてしまいます。
リスクを正確に読むことは、プロジェクトマネージメントの鉄則でもありますが、戦略思考にとっても非常に重要です。
副作用を考えずに事を進める
リスクの一種ではありますが、目標達成の手段を考えて目標達成までの道のりを因果関係で追いかけるときに、ポジティブな連鎖のみを考えて負の連鎖、つまり副作用を見逃してしまいます。
ある手段によって良いことも起きるけど、悪いことも起きる、ということを冷静に判断して、副作用に対して事前に対策を考えておくことが大切です。
人間は自分の都合の良いように考える傾向があります。自分の考えた計画は完璧だと思いたくなるものです。
一歩下がって、良いことも起きるけど、同時に悪いことも起こる可能性を先読みすることが大事です。
行動せずに評論家で終わる
繰り返しになりますが、戦略思考は行動が伴って初めて価値が出るものです。
行動できないことは、戦略の実行において全く意味を持ちませんが、自分が行動せずに他人任せにして、自分は言うだけという人も戦略思考がある人とは言えないと思っています。
戦略思考には、自分自身が行動した経験に基づくリスク回避の考え方が不可欠だからです。
戦略思考を身につける方法
戦略思考を身につける方法、手順は以下のようになります。
- 戦略の理論を学ぶ
- 戦略思考の癖をつける
- 行動から学ぶ
1.戦略の理論を学ぶ
まずは「戦略」に対する正しい理解をします。
「戦略」という言葉は、ビジネスの世界でも当たり前のように使われていますが、実は戦略を誤解している例はたくさんあります。
間違った戦略で良くあるのは、
- 高い目標を立てたことが戦略だと勘違いするケース
- 美しいキャッチ―な言葉を使って、中身がなく行動や成果に繋がらないケース
- 10個も20個もある問題点リストを作ってそれぞれに対策を施そうとするケース
ということです。
「戦略とは何か?」という問いかけを自分の周りでしてみてください。
おそらく皆違うことを言うのではないでしょうか?
私の「戦略」の定義は、
「競争の中で高い目標の達成にむけて、現状との差異を高確率で埋めるための行動指針」です。
戦略はコミットではありません。リスクを伴いつつ、大きな成果を狙って競争に負けないことが重要です。
そして、他人が思いつかない、しかし後で聞けば誰もが納得するコロンブスの卵のようなシンプルで驚きの基本方針こそが良い戦略です。
戦略の基本構造は、「分析」、「基本方針」と「行動」です。
戦略思考を身につけるには、「戦略」に対する正しい認識をすることです。
2.戦略思考の癖をつける
戦略思考、あるいは戦略的思考は、理屈を知っているだけでは役に立たず、自分の癖のようにして身につける必要があります。
戦略思考の癖をつける2つの言葉を繰り返し自分の意識の中で使ってください。
- それは本当ですか?(客観性)
- だとするとどうなりますか?(因果関係)
たった2つの言葉をしっかりと身に着けると、思考プロセスが劇的に変化し、行動まで変化してきます。
まず、「それは本当ですか?」「それは何故ですか?」という問いを自分の中で繰り返すことで、思い込みを排除する癖をつけます。
思い込みの排除以外に、周りから与えられた情報を簡単に鵜呑みにしてしまったり、不完全な情報に疑問を持たずにやり過ごしてしまう悪い習慣を矯正しすることもできます。
まずは、自分の中だけで使ってみて、使い慣れてきたら他の人との会話にも使ってみてください。
戦略思考の弱い人にこの質問を使い続けると、最初は煙たがられるかもしれませんが、それくらい戦略思考の弱い人たちはものごとを深く考えない癖がついていて、しかも自分の思い込みに気づくチャンスをむげに捨てているということがわかります。
次に、「だとするとどうなりますか?」という自問自答は、因果関係ロジックを鍛えてくれます。
この手段を取ると、その結果どうなっていくのか?その結果による変化がさらに別の結果に繋がっていないか、という思考回路が出来てきます。
そしてこの「だとするとどうなりますか?」の自問自答に対しても、「それは本当ですか?」を投げかけることで、更に因果関係ロジックの精度を高めていくことが出来ます。
因果関係ロジックは、因果関係を逆にたどっていくことで、問題の根本原因を見つけることが出来るので、現状分析の中で威力を発揮することが出来ます。
さらに、因果関係ロジックは、現状に対して何かの手を打った時に、それがどんな結果を導いていくか、目標に向かった変化が本当に起きていくのか、その途中に障害や副作用はないかを判断する力をつけることになります。
因果関係ロジックは、TOC(制約の理論)の問題解決のフレームワークでも使われるのですが、TOCの問題解決はまさに戦略的なアプローチであり、弊社の組織改革支援でも活用させていただいてます。
TOCの思考プロセスを学んで使うことでも、戦略的思考を育てることが出来ると言えます。
3.行動から学ぶ
何度も言いますが、戦略思考は行動までやって初めて価値が出るものであり、思考と行動までが1セットと言っても良いと思います。
戦略思考の癖がついてきたら、自身の考えに従って行動することを意識してください。
ただボンヤリと行動するのではなく、行動していくことで自分が考えた道すじに間違いはなかったか、読み違いはなかったかを振り返りながら行動を進めてください。
100%思い通りにはならないことがわかると思うし、思い通りにならなかったことは自身の経験となり、知識となって再活用できるようになります。
まさに実際の行動から学んで、戦略思考を強化していくことになります。
戦略思考を高めるということは、現状分析して目標達成までの道すじを構想するときに、自身が行動している状況を想像しながら本気で行動計画にしていける力をつけるということです。
4.戦略立案スキル強化セミナー
戦略思考を見つける方法、手順の1と2、つまり「戦略の理論を学ぶ」と「戦略思考の癖をつける」について、弊社のオンラインセミナーを用意しています。
2か月に1回程度の頻度で開催していますので、よろしければご参加ください。
概 要 :
戦略という言葉の真の意味を理解し、陥りがちな戦略の落とし穴を学び、勝つための組織を作ることのできる人財を育成するセミナーです。現状をしっかりと把握し、ゴールを具体的に設定し、ゴールと現状の差を確実に埋めていくための計画を作る力を養います。
- 時代の流れを読む
- 情報の重要性
- 組織の現状分析
- ゴールイメージを組織で共有する
- 解決までの障害を読み切る
- 負けないシンプルな戦略
投稿者プロフィール
- フューチャーシップ(株) 代表取締役
技術者のキャリアアップ請負人。日米複数の製造業で製品開発現場30年以上の経験、エンジニア育成の経験をもとに、エンジニアの活性化を通して日本企業の再生を目指し奔走中。
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フューチャーシップ(株) 代表取締役
技術者のキャリアアップ請負人。日米複数の製造業で製品開発現場30年以上の経験、エンジニア育成の経験をもとに、エンジニアの活性化を通して日本企業の再生を目指し奔走中。