地頭がいいと言われるエンジニアになるための能力開発

 

エンジニアとして技術力では負けないつもりでも、なぜか地頭力で敵わない相手がいる!

エンジニアとして技術力を磨いて、将来は技術で一目置かれる存在になりたいと日々頑張っているつもりだが、技術力は負けてないのに、なぜか会社の中での評価では勝てない同期がいる。周りからは地頭がいいと見られているのだが、地頭って何だろう?地頭は鍛えられるのか知りたい。

 

長年、開発部門の責任者として部下育成、部下の人事考課をやってきた経験から、地頭の良さとは何か、それが会社にどう貢献して、だから地頭の良さがどう評価されるかについて考察し、最後に、地頭の鍛え方をお伝えする。

 

本記事の内容

  • 地頭がいいってどういうこと?
  • 知識と思考力
  • 思考力の鍛え方
  • 論理思考力強化セミナー

 

 

地頭がいいってどういうこと?

 

地頭がいいというのは、口先が達者ということとは違います。

会社の中で目立つのは、どちらかというと口先が達者で、話のうまい人で、こういう人が評価されやすいという現実は否めません。

エンジニアは、平均すると口下手な人が多いのかもしれません(科学的根拠はない)が、中にはうまい人もいます。

しかし、冷静に評価できる人からみて、口先ではなく、「センス」が良いと感じる人が時々います。

この「センス」が良い人というのが、地頭がいい人なのだと私は考えているし、実は本当に評価されるのはこういう人です。

「センスがいい」も「地頭がいい」も共に曖昧な言葉なんですが、組織の中にいると確かにこういう言葉が当てはまる人が一定数存在するのです。

では、「センスがいい」、「地頭がいい」人は、具体的にどんな人物かというと、これまでの経験から「物事の本質に近づくための考え方を身につけている人」だと私は考えます。

言い方を変えると、ロジカルな人、上辺のことではなく中身を見ようと出来る人、自分の思い込みに気づこうすることが出来る人、物事をシンプルに的確に捉えるための思考プロセスを持っている人だと思います。

特に、上辺のことに流されにくいという所は、多くの人がその場の会話の流れに流されていくのに対して、「ちょっと待って」と言える人なので、周りから見ると目立つし、感心されるというオマケもついてきます。

では、どうしてこういう思考プロセスが身についているかというと、これは説明が難しいのだと思います。

だから、「センスがいい」という表現になるのかもしれません。

本当にちょっとしたことなんですが、

  • 周りの意見に流されない
  • 思い込みを排除しようと出来る
  • シンプルに考える癖を持っている
  • 的確な質問が出来る

というような特徴があるのです。

このような思考は、知識によってもたらされるのではないので、本を読んだり、勉強することでは身に付きにくいものです。

このような思考をもった人物がいることで、会議やコミュニケーションの中で、議論の方向性が間違った方向に行かないようにしてくれたり、議論が発散してしまうのを防いでくれたりします。

地頭の良さは、複雑な問題を正しい答えに近づける「思考力」なのだと思います。

組織にとっては本当に貴重であり、評価されて当然なのだと思います。

 

知識と思考力

 

小学校時代にクラスで頭の良い人というのは、勉強が出来る人ということだったと思います。

要するにテストで高い点数を取る人っていうことですよね。

偏差値が高い、とか、一流の学校に進学できる人が頭がいい人だということは、多くの人が自然に考えることです。

学校時代に頭が良かった人(テストの点が高かった人)と、会社で地頭がいいと思われる人は、一致している場合もあるし、一致していない場合もあります。

つまり、全く違うものではないのですが、まったく同じものでもないということです。

これは、「知識」と「思考力」の違いなのだと考えています。

学校のテストが出来るのは、「知識」を他の人よりもたくさん貯めることが出来たということです。

なので、一生懸命に努力をすれば、誰でも高い点数を取ることが可能なわけで、だからみんな頑張って勉強するわけですよね。

しかしながら、「思考力」は勉強をしても高められません。

 

「知識」と「思考力」は、車の両輪のようなものだと私は思っています。

両方ともに持っていることで、はじめて大きな力を発揮できます。

「知識」は外部からインプットして、内部に貯めていくもので、内部に貯まった「知識」を使って正しい答え、つまりアウトプットを生み出していくのが「思考力」です。

「知識」だけをたくさん持っていても、それを適切に処理する「思考力」が弱いと、正しいアウトプットを出すことができません。

反対に、「思考力」が良くても、「知識」が少なければ判断を誤ってしまうかもしれません。

自分を伸ばしたい、会社や社会にもっと個人の力で貢献できるようになりたいと思うならば、「知識」を貯めることと、「思考力」を鍛えることをバランスよく進めることが大切です。

しかし、勉強をすることで「知識」は積み上げることが出来るけど、「思考力」はどうやって鍛えたらいいかという疑問が浮かびますね。

「思考力」は、ある言葉の習慣で鍛えることができるのです。

 

思考力の鍛え方

 

思考力を鍛えることは、論理思考力(ロジカルシンキング)を鍛えることが近道です。

(参考記事「ロジカルシンキングを鍛えて上司を見返そう」)

ロジカルシンキングは、2つのロジックを習慣づけることで鍛えることが出来ます。

  • それは何故か?(なぜなぜ思考)
  • するとどうなる?(因果関係ロジック)

なぜなぜ思考は、「なぜなぜ5回」などと言われますので、知っている人も多いかもしれませんが、疑問を持たなくなるということは、考えることを停止しているのと同じことだと私は思います。

つまり、与えられたものを疑いなく受け入れてしまっていることになります。

思い込みという罠にも嵌りやすく、間違った方向で決断することが多くなります。

因果関係は、物事を辿っていく力なので、一つの事柄から真実へ繋がっていく流れを考える習慣になります。

「風が吹けば置屋が儲かる」ではありませんが、物事が起きる流れを追いかけていく癖をつけることで、問題の真の原因を辿ることが出来たり、これから起きることを予測できるようになったりします。

 

この思考力を鍛えるツールとして、私はTOC(制約の理論)の思考プロセスを使うことを推奨しています。

TOCの詳細はここでは説明しませんが、別記事「TOC(制約の理論)とは? ~製品開発組織に適用する方法」を参照してください。

TOCの問題解決のフレームワークは、思考プロセスとも呼ばれていて、そこで使うクラウド(対立解消図)は、今起きていることを「それは何故か?」思考を使って、客観的に的確に思い込みを排除して捉えるツールになり、クラウド作成を繰り返すことで、なぜなぜ思考を強化することが出来ます。

また、TOCで使う、問題の現状を構造化する現状ツリーや、改革のゴールを示す未来ツリーは、因果関係ロジックを使って作成していきます。(参考記事「開発組織における問題の構造化」)

一つの症状が次の別の症状に繋がって、更に次の段階にという具合に、組織で起こっていることが負の連鎖や正の連鎖で繋がっていることを理解していきます。

現状ツリーや未来ツリーを作っていくことで、因果関係ロジックを強化することが出来ます。

 

論理思考力強化セミナー

 

論理思考力(ロジカルシンキング)を強化する方法をお伝えするセミナーを開催しています。

問題解決力の向上、地頭を鍛えることを目的としています。

約4時間のセミナーで、ロジカルシンキングとはどんなことかを理解いただき、自身で鍛えていく方法をお伝えします。

 

概要:

  1. 事実、仮説、意見を識別する
  2. TOC(制約の理論)の概要
  3. 組織問題の根本原因を見つける
  4. クラウド(対立構造図)を作成する

 

 

 

 

投稿者プロフィール

賀門 宏一製品開発革新のプロパートナー
フューチャーシップ(株) 代表取締役
技術者のキャリアアップ請負人。日米複数の製造業で製品開発現場30年以上の経験、エンジニア育成の経験をもとに、エンジニアの活性化を通して日本企業の再生を目指し奔走中。
Pocket