エンジニアは誰にも負けないコンテンツを一つ持て
エンジニアとして成功するために今すべきことは何?
エンジニアにとっての成功とは何なのか?エンジニアとして技術を伸ばせば、その先に成功はあるのでしょうか?管理職になることにはそれほど興味はないものの、世の中で役に立ったり、人に認められて人生を豊かにするために、今からやれることは何かを知りたい。
大手メーカー、海外企業、国内中小の受託開発会社などで、1,000人以上のエンジニアの教育に携わってきた経験から、エンジニアとして成功するための秘訣をお知らせします。
一言でいうと、「誰にも負けないコンテンツを1つ持つこと」です。
どんな小さな領域、ニッチな分野でも構いません。XXなら”あなた”と言われるものを早いうちにつくることです。
そのために、今から出来ることは以下のことです。
- 自分の棚卸し⇒ポジショニングを絞ってコンテンツ作成を始める。
- ポジショニングに悩んだら、武者修行に出る。
本記事の内容
- 自分の棚卸しをしてやりたいことを確認する
- コンテンツの作り方
- コンテンツ作りで悩んだら武者修行に出よう
- まとめ
自分の棚卸しをしてやりたいことを確認する
すべてのことに通じることですが、何かを変えたいと思うならば、まずは現状を正しく客観的に知ることです。
つまり、まず最初にやるべきことは、自分がどんな状況であるかを自己分析することです。
特に、自分が本当にやりたいことをもう一度冷静に見直してみることです。
今やっていることは、出来ることではあるのでしょうが、それが本当にやりたいことかどうかは、自分の過去が教えてくれるように思います。
子供のころどんなことが好きだったか、何をしている時にワクワクしたか、夢は何だったか?
逆に、どんな逆境にあってきたか、それをどうやって克服したか、そこからの学びは何か?
他人からみると、自分はどんな存在なのか?どんなことで褒められるのか?どんなことで注意されたか?
人間は、生まれてから一日一日の経験を年輪のように、体の血肉にして生きてきています。
今の考え方や、自分の奥に眠ったエネルギーは、すべて過去の積み重ねだと思います。
一度、全部見つめ直してください。
今できることと、本当にやりたいことが一致していれば、それはとても幸せなことかもしれません。
もし、違いがあるのだったら、これからの人生で少しずつ方向を変えていくことを考えてみてください。
出来ることとやりたいことがわかったら、次に考えるのは、自分が得することは何かということです。
何か事業とか商売をするなら自分が儲かること、会社に属して働くなら自分が認められることなのだと思います。
技術者、エンジニアにとって、この”得すること”を考えるのは、すごく苦手なことなのかもしれません。
この記事のメイントピックである、コンテンツを作るのは、この”得すること”と結びつける必要があります。
”得すること”を見つけるには、ライバルの存在を強く意識する必要があります。
つまり、「競争」です。
エンジニアとして成功するためには、「競争」しているということをしっかり意識することが大切です。
そんなことを言っても、まだまだ勝負できるようなものは持ってないよ、と思う人が多いのかもしれません。
でも、大丈夫です。
これから誰にも負けないコンテンツを作っていきましょう。
”誰にも負けない”ことを考えるときには、ライバルの少ないエリア、できればまだ誰も手を付けてないけど、世の中、あるいは会社で大いに役立つことを見つけるのです。
2つの軸を考えて、2つの項目を合わせた領域、ニッチな領域を作って、そこで一番乗りを名乗ることです。
例えば、私の場合だと、リーン開発+TOC+ジョブ理論+経営経験を組み合わせた独自手法(一つ目の軸)を使って、手法を指導するのではなく、エンジニアの考える力を育てる(2つ目の軸)コンサルタントとして、自分は世の中でNo.1だという自負のもと、自分独自のコンテンツを持ち、育て続けています。
”出来ること”、”やりたいこと”と”得すること”という3つの輪を一致させていくと、エンジニアとしての明るい未来が出来上がるということです。
自分の将来を考えるなら、まずは自分の棚卸しをして、出来ること、やりたいこと、得することをしっかりと頭に描くことから始めましょう。
実は、この考え方で、自分のポジショニングを決めていくのは、マーケティング理論の考え方なのです。
私は、この活動を「自分マーケティング」と呼んで、若いエンジニアに指導したりもしています。
マーケティングの考え方は、応用範囲がとても広いと思います。
興味があれば、ぜひマーケティングを学んでみましょう。
コンテンツの作り方
コンテンツとは?
ポジショニング、つまり他者との違い、差別化ポイントを決めたら、ポジショニングに従ってコンテンツを作り、育てていきます。
コンテンツとは何か?
簡単に言うと、「他の人に指導できること。」と言っていいと思います。
最初は他人から学びます。学んで磨いて教えてくれた人を突き抜けます。そして教えることで他者から感謝されるもの、それがコンテンツです。
ある技術に関すること、ノウハウ、他の人から学んだことであっても、それに自分なりの理解や解釈を加えて自分なりの強みに出来ているもので、それを活用することで、会社や社会に貢献できることです。
まずは、社内で見たときに、その技術、知識、あるいはノウハウに関して社内でNo.1のものです。
コンテンツは、具体的に言うと、それを他人に教育するためのプレゼン資料と、ここでは言っておきます。
後輩、社内教育などの機会に、あなたが講師になって指導することで、会社にとって利益のあることをコンテンツと考えましょう。
他人に教えたら、優位性が無くなるようなレベルでは困ってしまいますね。
他人に伝えることで、会社に有益であり、自分も更に高いレベルに上がっていくようなコンテンツを選びたいです。
他人に伝えて、自分も更に学ぶという好循環を掴んでいくことで、あなたの地位も上がっていくはずです。
ポジショニングを決める、ということからコンテンツを実際に作ってみるという流れで、コンテンツに魅力が出せなければ、もう一度、ポジショニングから見直してみることもあり得るかもしれません。
いずれにしても、最後は誰にも負けない、誰に対しても自慢できるコンテンツを持つことです。
光るコンテンツを一つ持っていれば、これから先、どこへ行ってもエンジニアとして安泰だと思います。
独自コンテンツの作り方
コンテンツは一度作ったら終わりというわけではありません。
常に進化しているのが、勝てるコンテンツということです。
自分の棚卸しから、誰にも負けない領域を選んで、そこで人を指導できる内容を育てます。
そのために、様々な形で学び続けます。
学んだことをそのままコンテンツにするのではなく、自分なりに加工して創造するのです。
他人、つまり貴方から見た顧客のニーズ、つまり必要とされるものは何か、ということも考えます。
日々の学び、読書、経験などから生み出されたものを、小まめにスライドにしておきます。
スライドをまとめて、使えるコンテンツにしていくのです。
まずは、自分が持っているものをスライドにして、形にしていくことから始めてみてください。
コンテンツ作りで悩んだら武者修行に出よう
じっくりと自分の棚卸しをして、自分を見直してみて、誰にも負けないポジションを見つけることができれば、そのポジショニングでコンテンツを作っていけばいいのですが、もし、ポジショニングがなかなか決まらない、ポジショニングは決まっても良いコンテンツが作れないようなら、少し外の世界を見ることを勧めます。
長い間、ひとつの会社の中にいて、毎日忙しくしていると、外の世界が見えなくなるものです。
そとの世界に武者修行に出かけるのは、そんなに難しいことではありません。
実際に行動に移さなくても、まず、外の世界に自分が出てみることを想像するだけでも、十分に修行になるはずです。
今の会社を辞めると決める必要はありませんが、もし、辞めて外に出たらどうなるか、ということをある程度リアルに考えて、外に出る仮定で色んなことを考えてみたり、外の世界について考えるだけでも、自分を自分なりに客観的に評価するいいチャンスになると思います。
レジメ(職務経歴書)を書いてみるのは、本当に自分を見直すいい方法です。
大手企業で開発部門の責任者をやっていたころ、若いエンジニアに、いつでも出せるようにレジメを書いて、常に更新することを勧めていました。
実際、私は40才のころから、日本語と英語でレジメをいつも更新しています。
いつどんなチャンスがあるかわからないから、ということと、自分の状態を客観的に見ておくためです。
ちなみに63才になった現在も、レジメの更新は続けています。
レジメを書いたら、これを外の人に評価してもらいたくなりますね。
転職の世界を覗いてみる
転職は、レジメ、つまりあなたの経歴を客観的にみる一つのチャンスです。
経歴は人間の良し悪しを決めるものではありませんが、社会人として生きて来た軌跡を客観的に評価してくれます。
企業がその人を受け入れるべき人材と考えるかどうか、企業にとって価値のある人かどうか、という意味での評価です。
まだ、転職をするかどうかを決めていないのであれば、まずは、転職エージェントに相談するところから始めましょう。
転職エージェントは、転職を斡旋することでビジネスを成り立たせていますが、長い目でみて、マッチングの取れない転職を進めることは、そのエージェントにとってもマイナスになるので、ある程度は親身になって相談にのってくれるはずです。
最近の転職市場では、キャリアアドバイザーという相談者の質を上げることで、マッチング制度を上げて転職者と採用企業の双方の満足度を上げようとする機運があるので、基本はためになる話が出来ると思います。
ただし、あくまで人間がやってることなので、あなたに合うひとかどうかは、会ってみないとわかりませんね。
なので、少なくとも2社のエージェントで相談してみることで、レジメの評価、あなたの市場価値などを率直に聞くことが出来るし、今後、エンジニアとしての価値を高めるために、どんなことをすべきか、どんなコンテンツを持つ必要があるかなどのヒントを掴めると思います。
キャリアアドバイザーの充実した転職エージェントをまとめた記事があります。
エージェント選びは、色んな基準があると思いますが、キャリアアドバイザーの質も大事です。後悔のないキャリア支援を受けるコツなどをお話します。
フリーランスエンジニアの可能性をみてみる
転職よりも更に一歩踏みこんで、フリーランスエンジニアの世界も見てみましょう。
フリーランスエンジニアは、プロのエンジニアとして、自分のスキルに対して報酬を得るもので、起業に近いものです。
会社に属さず、個人事業主として役所に登録して、自分で収入を管理し必要な納税処理も自分でやるというのが基本です。
リスクも伴いますが、うまく行けば、稼いだお金はすべて自分のものですから、大幅な収入アップの可能性もあります。
誰にも負けないコンテンツを持っていれば、それによって仕事を継続的に得ることができるので、リスクも減らせます。
今すぐにフリーランスになる決心をしないまでも、どんな世界かは見ておいても損はありません。
転職エージェントと同様に、フリーランス専門に仕事を斡旋してくれるエージェントがあります。
エージェントの中には、エンジニアが個人事業主として独立することを、事務処理のサポート、独立支援、人材教育支援などの面でバックアップしてくれるところもあるようです。
ポジショニングを取るときに、どんなエリアのエンジニアが人気があるのか、ということも重要な情報です。
独自性も大事ですが、世の中で必要とされてはじめて価値が出るものなので、独自性と必要とされるものはバランスが大事だと思います。
フリーランスエンジニアを支援するエージェントに関する記事を紹介します。
フリーランスは会社に従属することから自分の力で独立するということです。エージェント選びはアドバイザー選びと考えると、悩まず良いスタートが切れますよ。
まとめ
エンジニアとして成功するために、誰にも負けないコンテンツを一つ作って、それを進化させ続けることが出来れば、エンジニアとして将来は安泰だと思います。
エンジニアとして、今の会社で働き続けるにしても、転職するにしても、フリーランスや起業で独立するにしても、すべてに共通することは、他者から認められ、選ばれることが成功のために必要なことです。
人から選ばれる、つまり製品と同じように顧客から選ばれて認められるには、マーケティングの考えが大変役に立ちます。
ポジショニングという言葉も、マーケティングからきた言葉ですね。
この記事に賛同していただけたら、ぜひ、マーケティングを学んでみることをお勧めします。
投稿者プロフィール
- フューチャーシップ(株) 代表取締役
技術者のキャリアアップ請負人。日米複数の製造業で製品開発現場30年以上の経験、エンジニア育成の経験をもとに、エンジニアの活性化を通して日本企業の再生を目指し奔走中。
最新の投稿
- コラム2023.01.17製品開発プロジェクト・マネージャーを育成する実践型PM研修
- コラム2023.01.06組織を変える提案、課題解決の提案力を育成する社内研修
- お知らせ2022.09.29研修コース例 ~技術戦略書の作成研修
- お知らせ2022.09.29研修コース例 ~製品開発革新の実践研修
フューチャーシップ(株) 代表取締役
技術者のキャリアアップ請負人。日米複数の製造業で製品開発現場30年以上の経験、エンジニア育成の経験をもとに、エンジニアの活性化を通して日本企業の再生を目指し奔走中。